WildRiver's S-WORLD
模型製作:WildRiver荒川直人
判型:A4判ソフトカバー
ページ数:160ページ
発売日:2011年11月22日
ISBN:978-4-499-23066-7
出版社:大日本絵画
『円形劇場』ーそれは、WildRiver荒川直人が生み出した情景模型作品の新しい形
全周囲 360°どこからでも観賞可能、あらゆる角度からいくつもの物語が読み取れることがコンセプトである円形劇場。その構造からも分かるように、そこには常に 観賞者の視線が意識され、WildRiver荒川直人の行なうディテール再現や電飾などの工程は常にその目線から行なわれる。見る者を驚かせ、楽しませる という見地から作られた異色のダイオラマ。実物のディテールを再現すること自体が目的化したスケールモデルとは一味違う、 「見る者を楽しませる」 というシンプルな方法論で製作された情景作品たちを心行くまで味わってほしい。
円形劇場ーどの方向から見ても物語のある、見る者の視点の位置を限定しないダイオラマ。 そのコンセプトに基づき、数々の作品を発表してきたWildRiver荒川直人。異能の情景作家である彼がこれまでに多数製作してきた作品の中でも、特に スケールモデルを題材としたものを集めた作品集が本書である。陸海空にジャンルを問わず展開する、 「見て楽しむ」ことを目的とした型破りのダイオラマ作品群。無二の情景模型によって語られる、圧倒的解像度のディテールと、超高密度のストーリーテリング に刮目せよ。
〈目次〉Contents
Chapter 1[空]
01 "White Breath" 白い吐息……12
(1/72 メッサーシュミットBf110G-4)初出『スケールアヴィエーション』2006年7月号(通巻第50号)
02 "Breezin" 静波風鈴……22
(1/48 三菱 F1M2 零式水上観測機 11型)初出『スケールアヴィエーション』2009年5月号(通巻第67号)
03 "Air Brake" 深森乃雨……32
(1/48 OV-1/JOV-1A モホーク偵察/攻撃機)初出『スケールアヴィエーション』2009年3月号(通巻第66号)
04 "Black cat" 黒猫隠家……42
(1/72 PBYカタリナ)本書用作り起こし作品
05 "Silence and roar" 轟音静寂……52
(1/48 ウェリントンMk.III)初出『スケールアヴィエーション』2007年5月号(通巻第55号)
Chapter 2[陸]
06 "The desert covered wagon platoon" 砂漠の幌馬車隊……60
(1/72 M2A2 ODS ブラッドレー)初出『アーマーモデリング』2004年12月号(通巻第62号)
07 "Black Roar" 黒き怒号……68
(1/72 UH-60A "Desert Hawk")初出『アーマーモデリング』2005年5月号(通巻第67号)
08 "Holiday of Mekong River" メコンの休日……76
(1/72 アメリカ海軍PBR31 Mk.? ピバー)初出『アーマーモデリング』2005年10月号(通巻第72号)
09 "The Heavy Train of Six Vehicles" 六重連乃図……86
(1/72 18tハーフトラック"FAMO")初出『アーマーモデリング』2008年12月号(通巻第110号)
10 "Overhang" オーバーハング……96
(1/72 M26 ドラゴンワゴン)初出『アーマーモデリング』2009年6月号(通巻第116号)
11 "Escape in the winter" 厳冬逃路……106
(1/72 ?号戦車H型)初出『パンツァーグラフ』(通巻第2号)
Chapter 3[海]
12 "The hiding place of Leviathan" 海龍隠家……118
(1/700 日本海軍潜水艦 伊400)2004 ピットロードコンテスト 金賞 初出『モデルアート』2005年7月号(通巻第684号)
13 "Marine citadel" 海上牙城……128
(1/700 アメリカ海軍航空母艦 イントレピッド CV-11)初出『モデルアート【プラモ・マニュアル】シリーズ5 教えて!空母プラモの作り方』
14 "A fort without water" 水無き砦……136
(1/200 U-boat type IX B)初出『モデルアート』2007年7月号(通巻第728号)
15 "Yamato Hotel" 重志不動……146
(1/700 日本海軍戦艦 大和)初出『モデルアート』2006年1月号(通巻第697号)
荒川流ダイオラマの要はシチュエーションとエンタメ性にあり
WildRiver荒川直人×金子辰也×MAX渡辺……157
WildRiver荒川直人
モデラーとして、ジャンルに関係無く作品を出し続け、それを各社の模型雑誌に掲載させていただけるということは、ある意味、非常に幸せな事なんだとつくづく思うときがあります。
『WildRiver's G-World ガンダム円形劇場情景作品集』に続いて、第2弾の陸海空スケールモデルの円形劇場の作品集を出版できたのは、大日本絵画/アートボックス社の方々のおかげ です。そして、マルチジャンルのモデラーゆえ、全艦船もの、一部AFV系で、モデルアート社の模型誌(モデルアート/PG)での作品掲載であったにも関わ らず、モデルアート社のご好意により、再撮影/編集というかたちで、この『S-World円形劇場作品集』に掲載が可能になったのは、大変ありがたい事で した。円形劇場というコンセプトを全面に出して、各社模型雑誌の隔たり無く、<円形劇場>というサブタイトルをつけることができたのも、各社/各模型雑誌 の編集の方々のおかげでもあります。
円形劇場は、生で見たときに本来の真価が発揮できるのでありますが、少しでも多くの方々に、この作品集を通してその片鱗が伝える事ができれば幸いです。
'60年北海道生まれ。小学校低学年のときに初めて買ったプラモデルはレベルの人体模型で、小学生時代にはすでに艦船、帆船、戦車、ロボット、粘土細工な ど、現在のマルチジャンルモデラーに至る基礎を培う。Macのプログラミングが趣味だったこともあり、画像処理ソフト「ADOBE Photoshop」の黎明期に日本で初めてPhotoshopのプラグインを開発、「WildRiver®SSK」シリーズなど数多くのプラグインソフ トをリリースした。プラグインメーカーとしては海外でも評価が高く、'96年には自らプログラムしたプラグインがアメリカで"Best Photoshop Plugin of the year"など賞も受賞しているほどの元プラッガー&フォトショッパーでもある。模型の世界には9年ほど前に復帰したが、その後は数多くの模型雑 誌に、AFV、飛行機、艦船、SF、キャラクターものなどマルチジャンルでの情景模型=円形劇場を製作/発表している。なお、本職はまったく関係のない ジャンルのソフトウェアエンジニア。