宮崎駿の雑想ノート[増補改訂版]
著者:宮崎 駿
判型:A4判並製
ページ数:128ページ(カラー116ページ)
初版年:1997年
ISBN:9784499226776
出版社:大日本絵画
“宮崎 駿が描く、目もくらむ雑学と妄想の世界”
アニメ映画監督・宮崎 駿が、その豊富な軍事知識と妄想で構築した超趣味的世界。
古今東西の兵器と人間が織りなす狂気の情熱を描いたイラスト・エッセイ13編。
大ヒット映画『紅の豚』の原作、『飛行艇時代』を収録したロングセラー。
〈目次〉
第1章
第1話「知られざる巨人の末弟」……5
第2話「甲鉄の意気地」……11
第3話「多砲塔の出番」……17
第4話「農夫の眼」……23
第5話「竜の甲鉄」……29
第6話「九州上空の重轟炸機」……35
第7話「高射砲塔」……41
第8話「Q.ship」……47
第2章
第9話「特設空母 安松丸物語」……55
第10話「ロンドン上空」……65
第11話「最貧前線」……77
第12話「飛行艇時代」……85
第13話「豚の虎」……103
雑想トーク「虎戦車の雑学と妄想」……118
注釈……123
雑想MEMORANDUM……126
〈序文より〉
「この本に、資料的価値はいっさいありません」
あんまり人に自慢できる趣味じゃないんですが、ようするに軍事関係のことが好きなんですね。くだらないなァと思いながらも、軍事関係のことが好きなんです。なんと愚かなことをするんだろう…と思いながら、なんてバカなんだろうと思いながら戦記などを読んでいるんです。でも、愚かだとわかりつつも、狂気の情熱みたいなものが、どこかで好きなんですね。しかし、肯定しているかというと、そうではなく否定しているんですが、そういう矛盾が整理されないまま、ずーっとこの趣味を、もうかれこれ40年近くやっていると、色々たまってくるんですよね。で、それを出したくなるんです。ただ、自分はこういうことを知ってるよ!っていうのを出すんじゃなくてね。実は、こういう趣味をやって行くっていうのは、人にはとても言えないことですけれども…頭の中で無数の空中戦をやり、無数の海戦をやっているんです。だから僕はシミュレーションゲームをやる気が全然起こらないんですね。ゲームなら、もう頭の中で死ぬほどいっぱいやっているから…死ぬほどっていうのはオーバーで、全然死なないけど(笑)。だから、いったいどれほどの数の航空母艦や、どれほどの航空戦隊や、どれほどの数の飛行機や、どれほどの数のその飛行機のための工場なんかを、色々と頭の中で練り上げたかわからないんです。そういうことを、ああだこうだとやっているうちに・・・なにもそれは第2次大戦の飛行機とか、戦車に限らず…いろんなことをやっているうちに、何と変な物があるんだろう!とか、何と不思議なんだろう!っていうような妄想のカタマリを、まァ“妄想ノー卜”っていうんじゃつまらないから、色々な雑学の集まりとして描きたくなって描いたのが、“雑想ノート”というわけなんです。ホントは、いつもこれだけをやっていられると楽しいんですけれど、これはまったくの趣味ですからね(笑)。ようするに、自然保護の問題をどうのこうのとか、少女の自立がどうのこうのとかね、そういうのは一切ヌキ!もう、とにかく!! 宮崎 駿
〈著者紹介〉
宮崎 駿 miyazaki hayao
1941年1月5日、東京都出身。飛行機会社の役員だった父親や、戦記好きの長兄の影響下、読書や漫画を描いて幼年期を過ごす。1963年、学習院大学を卒業し、アニメーション製作会社東映動画に入社。数々の長編映画に参加後、1978年に『未来少年コナン』を演出し注目を集める。以後、『ルパン三世カリオストロの城』で初の劇場作品を監督、『風の谷のナウシカ』、『天空の城ラピュタ』、『となりのトトロ』、『魔女の宅急便』と立て続けにヒット作を生み出した。1992年には本誌第12話『飛行艇時代』を原作とした映画『紅の豚』が公開され、大ヒットとなった。1997年夏に『もののけ姫』、2001年夏には『千と千尋の神隠し』が公開され、同年10月、東京都三鷹市に『三鷹の森ジブリ美術館』が開館した。